第128回 家庭医療セミナー in いわき~実践家庭医塾 Online~ 2022年4月 

令和4年4月21日(木)、第128回家庭医療セミナーをオンライン形式で開催しました。

今回の内容は、
① 4月から当院で研修をスタートした石川先生、原先生の自己紹介
② いわき市医療センター初期研修医の佐々木先生の事例発表    です。

石川先生は、福島県立医科大学の地域・家庭医療学講座専攻医1年目で、旅行が趣味とのことでした。
原先生も福島県立医科大学の地域・家庭医療学講座専攻医3年目で、ラーメンが大好きとのことでラーメンと関連付けて自己紹介を楽しく行いました。
お二人は共にいわきで生まれたり幼少期を過ごされたりとゆかりがある先生ですので、どうぞよろしくお願いいたします。

続きまして、いわき市医療センター研修医の佐々木先生より症例発表を行いました。

患者さんは52歳女性、独居で生活保護の方です。10年程前から坐骨神経痛にてA病院通院加療中でしたが、4月のある日に痛みがひどくなり、出先の事業所で痛みで意識消失し倒れ、かけつけた店員さんに救急要請されました。

25年前からB病院・C病院に過敏性腸症候群で心療内科も通院中。各医療機関で薬も大量に出されていました。家族とは絶縁中でキーパーソンは友人。家の中は足の踏み場もないゴミ屋敷という生活環境です。

ここでディスカッションです。いくつかのグループに分かれ、検討後発表を行いました。

前の病院さんとの長い関係がある中で入院させていいものなのかというのが一つ悩ましいと思っている。もちろん疼痛の原因とか坐骨神経痛なのかという評価は必要だと思うので、画像検索はしても良いと思うが、痛みがひどくて入院になるのであれば、その先のこと、無事に自宅に帰れるのかとかそういうことも含めてどこまで首をつっこんでいいのか非常に悩ましいと思った。

たくさんのproblemが雑多にあるなかで、どういう問題に介入していくかが非常に難しい。だた、本人の坐骨神経痛っていう診断で本当にいいのか?そもそも坐骨神経痛を起こす原因は何なのか?そこを正確に評価することが治療方針を決める。本人が痛みがかなり強かったということで痛みに対する画像の評価かなと。他にも病院のコンビニ受診してないかとか、こんなに薬を飲んでいてどうやってコントロールしているのかとか山積みではあったが、まずは画像の評価からしていくべきではないか。

この人は救急車で近くの店員が運んできたケースなので、患者さん自身に救急搬送の受診において、患者本人がどうしてもらいたいのかという確認が必要だという話がでました。他のグループでも指摘ありましたが薬が非常に多くて、一つのプロブレムで複数医療機関にかかっている状況ですので、これまでの治療との関係性・つながりをどうしていくのかというのが議論にあがった。

疼痛コントロール目的に入院した結果、疼痛は若干の改善認め、歩行はなんとか可能になりました。
退院のお話しをすると本人より「帰宅は難しい」とのことで、検査希望もあり腰椎MRI施行した結果椎間板ヘルニアを認めました。
整形外科へコンサルしたところ手術が提案され、転院調整開始となりました。

ここで、この患者さんに対して退院後どのようなサポートをしてくべきかのディスカッションを行いました。
問題点としては、家がゴミ屋敷状態で足の踏み場もなく、生活する上で腰への負担が懸念されることや、家族と絶縁状態でサポートが期待できないことが挙げられました。

多くの先生に共通していた意見として、長年本人と深い関係が続いている心療内科の先生もいらっしゃるので、介入をするのは控えるという意見がありました。
また、友人に20回近くも電話するという行動もあり、精神科的なアプローチも必要かと考えるという意見もありました。

佐々木先生のまとめに入ります。

佐々木先生、大変お疲れ様でした。

家庭医療セミナーでは多くの方のご参加をお待ちしております。興味をお持ちの方は下記までご連絡ください。

次回開催予定:2022年5月26日(木)19:00

当セミナーへの参加につきましては、
 かしま病院地域連携課
  TEL:0246-76-0350
  Mail:kashima.hospital@gmail.com
までお問い合わせください。

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