研修医へインタビュー Vol.66 いわき市医療センター様 山田彩加医師

今回は、令和6年5月から6月まで研修をしました、いわき市医療センター様研修医の山田彩加先生から感想をお聞きしました。


広報 かしま病院の研修の感想をお聞かせください。

山田 私はいわき市医療センターで研修しているのですが、普段の研修との違いを感じられたことが良かったなと思っています。救急外来は普段当直でやっているので慣れてはいたのですが、その後の再診の予約を入れて自分で診察をしたり、自分が診察できない時は、一緒に働いている研修医に診てもらったりと、患者さんのその後を見届けることができたのが良かったです。また、フォローアップ外来では、定期的に通っている患者さんの外来診察を今まで経験したことはなかったので、細かい服薬調整や、薬をどう減らしていくのか、そういうところまで考えるのが難しかったです。すごく勉強になって良かったなと思います。

広報 研修の中で印象的だった患者さんはいらっしゃいましたか?

山田 これまでの研修先は三次救急だったので、ピンポイントの治療が終わったら、他の病院に転院をお願いすることが多くありました。今回、かしま病院で研修をしてみて、患者さんを自宅で見ることがご家族の家庭の事情的に難しいという理由で入院するということもたくさんあるなと思いました。終末期の方ではDNAR(心肺蘇生を行わないこと)をどの程度まで希望するか、ご本人がもう意思を提示できない状況になると難しいなと思いました。

広報 そうですね。難しいですね。山田先生はこの場合はどのようにご対応されたのですか?

山田 私が診た方だと、入院時、患者さん本人は認知症で状態も悪く寿命も長くはない状態だったのですが、ご家族が病状を理解できてないのか、理解したくないのか、受け入れられないのか、病状をしっかり認識しきれてないところもありました。ですが、その後、自分でご飯を十分量食べられない、点滴でもずっと持続では留置できないとなり、そうなると経腸栄養の流れになるのですが、その方に本当に胃管とか胃瘻するのがいいのかとても悩みました。ご家族も入院してから患者さんの状況を見て「本人にとって苦痛だろう」ということで、現状治療で胃管はやらない方針になりました。
 私は客観的に患者さんを「この人は何歳で、既往がこれだけあって、現状から考えてもうお家に帰るのは難しいよね」と簡単に思ってしまいますが、ご家族からするとそんなに簡単に受け入れられないですし、ご家族の希望ですべて何でもかんでも全部やって、心肺蘇生をやることが患者さんの為かといわれると、そこは疑問なところですよね。ご家族が受け入れられる形で、そして患者さんにとって一番いい形を探すのが大事なのは良くわかるのですが、この判断は難しいなと改めて思いました。 

広報 深い経験をされたのですね。先生としての判断もありますし、ご家族や患者の思いの両方を汲み取って治療方針を決めるのは難しいですね…。
   次の質問ですが、良かったプログラムはありましたか。

山田 先ほどもお話しましたフォローアップ外来と健診外来ですね。
健診外来の打ち合わせを中山晴夫先生と行ったのですが、二次健診の方の検査結果の確認などを、もともと高血圧とかで外来に通院されている方でなく、健康だと思っていて健診を受けたらちょっとひっかかってしまったという方へどのように結果の説明をするのが良いのかを考えました。
 例えば、血糖や脂質が高い、メタボだという方達にどういう説明をすれば気を付けてもらえるか、その方に対して「すぐにかかりつけを作って、定期的に解決して生活習慣を変えてください」と言えばいいかというと、そうではない。現状をお伝えしつつ、「今はどれくらいの状況なのでこれくらいを目指してやっていきましょうね。来年の健康診断で悪化してなければ、いいでしょう」という伝え方や、逆に悪くなっていた場合は「来年まで意識をして、―3kg目標に1年後までに頑張りやっていきましょうね。そこで数値に変化がなかったり、悪くなっていたら、かかりつけを考えてみたほうがいいかもしれませんね」という言い方です。

 私は『すぐ「かかりつけを作ってもらったほうが安心ですね」と言った方がいいですか?』と指導医に聞いたのですが「本人がやってみようかな。と思えるような言い方がいい」と教えていただきました。なかなか難しいです。晴夫先生の話を聞いて伝え方について学ばせていただきました。

広報 コミュニケーションの方法の難しさをお話を聞いて改めて感じました。その人に合わせての言い方があるんでしょうね。

山田 コミュニケーション難しいです。「ダメダメ!」と言われたらやる気なくしますよね。自分だってそうだから「ちょっと気を付けよう」と思ってもらえるような言い方って大事だなと思いました。“これだ”という伝え方はまだ固まってないのですが勉強になりました。

広報:ありがとうございます。インタビューは以上になります。山田先生の研修中の貴重な経験をお話いただきありがとうございました!

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