研修医へインタビュー Vol.61 東京慈恵会医科大学付属病院 様 山口裕璃医師

令和6年4月から5月の2か月間、研修を行いました東京慈恵会医科大学付属病院研修医の山口裕璃先生に研修の感想インタビューを行いました。


広報:かしま病院を選んだ理由を教えてください。

山口医師:先輩方から、病院のスタッフの皆さんが温かく、いろいろと教えていただけてアットホームにのびのびできるとお聞きし選びました。  

広報:そうだったのですね。それは嬉しいです。

山口医師:初日からの3日間は特にドキドキで、緊張し続けていたのですが、かしま病院の先生方にお手本をたくさん見せていただいて、少しずつ慣れていきました。研修序盤で、人のありがたみや優しさを感じました。

広報:親しみやすい先生が多いですよね。

山口医師:先生方もそうですし、勿論スタッフの方々も優しくしていただきました。患者さんも穏やかな方も多く、外来診察では、慣れてないような話し方をしたこともあったのですが、若造の言う事でも話を聞いてくれて、人の良さを感じました。皆さん人柄が凄く良くて感謝しかないです。

広報:そうだったのですね。ありがとうございます。かしま病院の研修はいかがでしたか? 

山口医師:かしま病院では、大学病院と違い自分が能動的にやれることがすごく多かったです。初診の患者さんの他にも、前任の研修医から引き継いだ患者さんも診察しました。自分なりに考えながら検査をしたり、原因を突き詰めていけるところが良かったと思います。
 あとは、地域性からなのか高齢の方が多い印象がありまして、老老介護の実情や遠方に息子夫婦がいる家族構成といった患者背景を気にしなければいけない場面が多かったです。
 また、専門の病院に送ろうと思っても、専門の病院がないということが結構ありました。そのあたりも地域の特性なのかなと思いました。

広報:研修の中で印象に残った出来事はありましたか?

山口医師:そうですね。受け持ちの患者さんの中で、頭では病態を分かっているのですが、病気を受け入れられないという方がいました。その患者さんは自分でお薬を調整しようとしてしまったり対応が難しく感じました。

広報:そうなのですね。難しいケースの患者さんの経験をされたのですね。
   こちらの研修では総合診療を学んできたと思うのですが、今後生かせることはありますか?

山口医師:難しい患者さんを診察や、訪問診療では、地域の特性を感じながら患者さんの背景に触れることができたと思います。医師になってから、患者さんの背景に触れるということを改めてさせていただいて、ただ病気を治すだけでなく、目標やゴール「患者さんがどう幸せに生きていくのか、どう幸せに終わりを迎えるか」を考えることができて良い経験になりました。
 病気を治療してお薬をポンと出して終わりではなく、この患者さんは、この後家にどうやって帰るのとか、誰が見るのか、訪問診療を入れるか、もしもの事があった時どうするかを考える必要があると痛感させられました。

広報:なるほど…。まさに、かしま病院の掲げる全人的医療ですね。
   山口先生は家庭医塾*には参加されましたか?
  (*家庭医塾・・・かしま病院で行っている家庭医による症例勉強会)

山口医師:はい。今回、私は“Difficult Patient„という内容で症例発表をしました。この言葉の意味は”難しい患者„という略になるのですが、言葉の圧が強い患者さんや病気の背景が難しい、患者さんが医師に不信感を抱いている、医者側が患者さんに対して嫌だと思ってしまう、医療面接をしたくないなと身構えてしまうような患者のことを言います。
 医療面接の大事さを痛感した2ヶ月間の研修だったので、患者さんの背景を深く知るということを言及した発表をしました。患者さんとの会話の仕方を考えるきっかけになった発表になりました。

広報:患者さんとの会話はどう話すのがよいのか考えは見つかりましたか?

山口医師:患者さんの思っていることを、ちゃんと充分に受け止めることや、間違って受けとらないようにしない、怒っているならピントのずれた解釈をしないよう、患者さんに寄り添えるように話していこうと思います。

広報:難しいですよね。ちょっとでもずれてしまったら信頼関係を築けなかったりある中で…

山口医師:自分の病気を受け入れられない患者さんも多いので、患者さんとゴールを見つけ、病気を治療完治ではなく付き合っていくという説明や、お互いが納得できるように寄り添ってくという難しさを感じました。

広報:山口先生のように患者さんに向き合っていただく先生がいたらうれしいですね。ありがとうございました。
 今年度から研修医の皆さんにも地域医療を学ぶ実習として「いとち実習」や「保育園健診」に参加していただいておりますが、いかがでしたか? 

山口医師:いとち実習では「医療とは何か」について、研修医や医学生の医療者側と文系大学生や地元住民の地域側に分かれて、それぞれの解釈を聞きました。私自身は、病気は嫌だが医療行為自体は嫌ではないと思っていましたが、地域側からの意見で「病院が嫌だ」や「医者が強く出てくるのが嫌だ」という発言が結構あって、病気じゃなく医療というのが怖いもので寧ろマイナスに取られていることを知りました。自分の医療面接は威圧的にならないように患者さんに安心してもらえるような、環境づくりとか話し方とか考えていこうと思いました。
 
 保育園健診は子供の成長を凄く感じました。乳幼児から5、6歳児まで診させていただきました。乳幼児の子供達は聴診器を見て「えっ?」という感じで見ていたり、医師や看護師がみんなで見ていることで泣き始めたりとか、それにつられて泣くみたいなこともありました。2、3歳児になると受け入れられる子と受け入れられない子がいて、成長のばらつきを感じました。5、6歳児は自分からお腹を見せてくれたり、口を開けたり先生の話を聞いて成長を感じました。子供たちは可愛いかったです!

広報:保育園のこどもたちは元気いっぱいですよね。
   レクチャーの時間はいかがでしたか?

山口医師:レクチャーの時間は凄くためになりました。心電図や放射線の読影は本当に苦手で、特に心電図は読むのも嫌なくらいでした。これまでは自分で心電図を読むという経験があまりなく、今回の研修では自分で読まないといけないので、レクチャーを受けて勉強をしつつ、実際の心電図を指導医に確認しながら答え合わせができて、自分の力になりました。放射線読影やレントゲン、CTも頭から足まで見せていただいて、苦手意識を克服できました。
 

 たまに、自分の気になる患者さんのCTを「これは病気なのか?」、「映り込んだだけなのか?」などその時に聞おてフィードバックを放射線科の先生に聞けるというのは貴重でした。とてもフランクに教えてもらったので楽しく学べました。

広報:学びに繋がり本当に良かったです!
   生活についてお聞きしますが、いわきでの生活はいかがでしたか?

山口医師:住み心地いいというか、周りにもお店が色々あって安心しました。正直、何もないかと、来る前は心配していたのですが不自由なく過ごせました。私は車が無かったので、それが辛かったですが、貸していただいた自転車を駆使して死ぬほど走り、自転車の子になってしまいました(笑)ある休日は36キロ走りました!神社や海なども巡って楽しかったです。

広報:えー凄い!一日がかりでしたね。満喫されましたね。

山口医師:楽しかったです!自転車でも全然大丈夫です。車ない人にはぜひ、自転車を貸してください。

広報:いわきの生活も楽しんでいただけて良かったです。ありがとうございました。
   最後に次に来る研修医の方にメッセージ頂ければと思います。

山口医師:新しい環境に来るので、地域ということもあって緊張して来るかもしれないのですが、凄い人柄があたたかくて、先生方に限らずスタッフさんや患者さんの人柄に甘えながらものびのびとできるのではないかと思います。頑張ってください。それと、いわきの生活も自転車でもやっていけるので安心してください!

山口先生、インタビューへのご協力ありがとうございました!
対応が難しい患者さんに対しても、寄り添う気持ちを持って向き合う山口先生の言葉が印象的でした。
今回の研修で経験したことを活かしていただけたら嬉しいです!

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