今回、広報企画室の新たな取り組みとして、当院での研修を終えた医師に感想や学んだことを伺い、当ブログに投稿していく運びとなりました。研修では、新たな学びや気づき、自分自身の課題など、得られるものは多種多様であり、個人によって異なるものだと思います。 そこで、当院で研修をしてどんなことを学べたのかをお伝えするとともに、これから研修に入るという方は、新たな学びのヒントにしていただければと思い、この研修医インタビュー企画を開始しました。
第一回目である今回は、いわき市医療センター様からの研修医で、当院総合診療科にて1か月間研修を行った、初期研修2年次の小林祐太医師に研修を振り返っていただき、学んだことなどを伺いました。
かしま病院総合診療科での研修を終えて
いわき市医療センター 初期研修2年次 小林祐太
総合診療科は、専門にとらわれずに患者さんを診るという特性上、様々な鑑別疾患を挙げながら診断へのアプローチを行っていきます。今回、私は診断学を学ぶために、かしま病院の総合診療科で1か月間研修させて頂きました。
総合診療科の先生方との外来研修を通して、そういった鑑別疾患の引き出しは当然増えましたが、それ以上に大切な学びがありました。
いわき市医療センターでは、夜間の内科当直は研修医主体で行っています。夜間帯の救急対応で大切なことは、可及的速やかに、的確なトリアージを行うことです。緊急性の高い疾患を見逃さないようにしながら、軽症の方は応急処置をして日中かかりつけ医に紹介します。軽症患者さんの対応でも、時間の許す限り傾聴し、適切な治療介入を行うよう努めておりますが、混み合っている際は応急的な対応しかできないこともあります。
我々研修医が外来診察を行う機会の多くがこのような夜間救急対応であるため、知らぬ間に悪い癖が付いてきます。つまり、緊急性が高くなければ、そこで考えるのをやめてしまう。詳しい検査は夜間診療では難しいので、診断も付けられないから軽症患者さんのフォローはかかりつけ医にお任せする。トリアージが重要である以上、忙しい当直帯の診察ではそうなってしまう事が多いです。
研修中の外来診療の中で、これ以上の治療介入は難しいと考えられたケースがありましたが、総合診療科の先生は、それでも何かできないか、時間の許す限り患者さんに寄り添い、多面的にアプローチされていました。経験年数の差から生まれる診断能力の差は、そう簡単には埋められませんが、医師としてスタートラインに立ったばかりの研修医にとって特に重要なのは、患者さんを全人的に診るという姿勢です。普段の当直帯での診察方法と、最後の受け皿として必要とされる総合診療においての診察方法では提供される医療は当然違うと思いますが、なかなか自分の中で切り替えがうまくできていない事に気付きました。その悪い癖に気づけたのであれば、改めることはできますが、気づかなければそれが医師として今後提供する医療となります。患者さんにとっては最善の医療とはいえません。
来年度より、かしま病院での研修は必修となるため、今後いわき市医療センターから多くの研修医が訪れることになります。私のように、診療の基礎を当直業務から学んできているので、私と同じような癖が多かれ少なかれあると思いますが、総合診療科の先生方の患者さんに寄り添う診察を経験する中で、患者さんにとって最善の医療を学んで頂ければと願っております。
初期研修も終わりが見えてきましたが、今回学んだ事を糧に鋭意努力して参ります。
1ヶ月間、御指導頂きありがとうございました。
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