家庭医療セミナー in いわき~実践家庭医塾 Online~ 2021年4月

 4月22日(木)19:00より、家庭医療セミナーが開催されました。
 今月は、ZOOMによるオンライン参加と会場参加を組み合わせたハイブリッド形式で開催されました。

 始めに、4月より当院総合診療科にて約1年間の研修がスタートした、藤井慎之輔先生からご挨拶がありました。

 藤井先生、これからよろしくお願いします。

 

今回の事例発表者は、当院総合診療科で臨床研修中の2名の先生です。

事例① 発表者 東京慈恵会医科大学附属病院  西村優樹 先生

 患者は高齢の独居男性で、現役で働いていましたが、自宅で意識障害となり入院しました。低血糖による意識障害と見られ、入院後症状が回復したため退院することになりましたが、高齢男性の一人暮らしのためか、偏った食生活に加え、嗜好品を多量に摂取する生活を送っており、退院後の健康状態が心配される状況でした。

 ディスカッションでは、3つのブレイクアウトルームに分かれて退院後の生活で気になる点などを挙げていきました。グループごとの発表では以下のような意見が出ました。

・行動変容向けて本人の意欲をもう少し引き出したかった。(西村先生と一緒に対応した医師より)

・家族(娘、孫)にもっと関わってもらう。

・嗜好品に走る原因を特定する。

・自立ではあるが、今後の事を見据えて介護保険等の準備をする。

・かかりつけ医との連携も重要で、トータルマネジメントとして総合診療医がついていると良い。

ディスカッションの発表後に、西村先生が事例について振り返りました。
 西村先生は今回のディスカッションを通して、今までの生活歴や病歴についての情報が不足していたと改めて感じたそうです。かかりつけ医に問合せをして、現在までの病歴などを詳細に聞いた上で、本人の意欲を引き出したり行動変容への動機づけまでできればより良かったとのことです。次回以降は問診の段階からもっと情報を引き出していきたいとのことでした。

 

事例② 発表者 いわき市医療センター  木田智士 先生

 木田先生は高齢の女性患者の事例でした。背中と胸の下が痛いという訴えで来院され、検査をしましたが大きな異常は見当たりませんでした。そこで指導医に相談したところ、原因不定の胸痛として「流行性筋痛症」や「プレコーディアルキャッチ症候群」といった疾患があるという助言を受けました。いずれも全年齢で見られる疾患です。胸痛は外来診療での遭遇率が高いので、このような疾患の知識を持つことが重要であると感じたそうです。

 ディスカッションでは、本事例のことや、参加者自身の胸が痛くなったエピソードについてグループで話し合い、各グループから以下のような意見が発表されました。

・自身が尿路結石になったときに、はっきりと痛みの原因がわかるまで言いようのない不安感があったため、しっかりと診断名を付けてあげることが安心につながる。

・本事例の診断名に関しては、レッドフラッグを除外して、器質的疾患がなければ先に出ていた2つの病名をつけてよいと思う。

・胸痛は普段の外来診療でも遭遇率が高いので、しっかりとした知識を持って診断することで医師も患者も安心できる。

ディスカッションの発表後に、木田先生が事例についてまとめました。
 木田先生は本事例について指導医に相談した際に、あるエピソードを聞きました。それは過去に指導医自身が体験したエピソードで、受験の時にプレコーディアルキャッチ症候群を発症したものの、合格したら治癒したという話でした。そのエピソードから、検査結果だけ見るのではなく、心因性の可能性等も含めて様々な視点から診察することが重要であると学んだそうです。

 

2事例の発表後に、それぞれの事例について当院医師より助言がありました。
 「西村先生の事例は、病名だけ見るとすぐに退院しても問題がなさそうですが、掘り下げていくと複雑な問題があり、今後の生活が不安視される事例だとわかりました。可能であれば、研修期間中にかかりつけ医と何らかの形でやり取りをして連携してみると、良い学びになると思います。」
 「木田先生の事例については、胸痛は外来で良くある訴えです。診断名をしっかり付けることは安心につながりますが、診断が確定できない場合は、症状緩和の対策をして、その結果の確認まですることでより良い診療につながると思います。」

 

最後に葛西先生からの講評です。

 一般的に、疾患には心因性のものと器質的なものがあると言われていますが、一度心因性だと決めつけてしまうと、他の視点が見えなくなってしまいます。家庭医はそれにとらわれずに、患者自身がどう思っているのか?家族の思いは?地域との関わりは?など多因子が絡んでいることを意識して診療にあたることが大切です。型にはめずに、何でもありうると思って対応することが重要です、とのことでした。

 

 次回は5月27日(木)19:00~ 今回と同じくZOOMと会場のハイブリット形式での開催予定です。
 オンラインで気軽にご参加いただけますので、興味のある方はかしま病院地域医療連携課までご連絡ください。

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