研修医へインタビュー vol.7

3月、東京慈恵会医科大学付属病院様から、初期研修医の奥田ひかり医師が当院の総合診療科にて研修を行いました。
奥田医師より、研修の感想をお伺いしました。

継続性

「毎週末、夜中になると遠くから家族が集まってきて、朝までお話ししているんです。こんな幸せな時間をくださって、本当に感謝しています。最後も先生に看取ってもらえたら嬉しいです。」

在宅での癌終末期患者さんのご家族が涙を流されながらお話ししてくださいました。

 緩和ケアを行いながら、家族と家で穏やかな時間を過ごすのがご本人の前からの願いであったそうです。人生の終末を大好きな家族と、私は幸せだなあと思いながら過ごせたら、どれだけ温かい気持ちでいられるだろうかと思います。この時点では医療者としてできることは少ないけれど、そういう小さな願いを一緒に叶えるお手伝いができるのは、家族の次に在宅医療にかかわる先生方ではないかと思うのです。だから常に一人の人の人生を見つめて、よい終わりを一緒に迎える覚悟が必要なのだと思いました。

大学病院にいると病棟医が在宅医療にも携わり、お看取りまでということはそう簡単には実践できません。病院機能として役割が異なっているので当然ですが、かしま病院の先生方のような“継続性”を意識することが必要ではないかと考えるのです。

ある先生は、「初めて会ってから、15年もたつと認知が進んでくる人が出始めるんだよね、その間前にこの人をどうやって看取ろうか、死ぬまでを考えた会話を意識しているんだ。」とおっしゃっていました。この言葉を聞いたとき、心の中ではいろいろな意味での驚きがありました。15年も同じ患者さんを見続けているのか、だからカルテとにらめっこしてさかのぼって確認する必要もなくて、ちょっとした異変にすぐに気づくことができるのか。密な関わりがたった数分の会話の中で見られました。今目の前のプロブレムを解決することも大切ですが、その先にある姿を想像してこその治療ではないかとも考えるようになりました。

点ではなく、線で、さらには面で、広い視野を持つことが、例え点でしか関われない立場だとしても大切なことだと思います。“継続”して患者さんを診る意識を養うことができました。

いわきについて

いわきは天気もよく、人も優しい穏やかな地域でしたので、おいしいごはんと温泉で毎日穏やかに過ごせました。

私たちはちょうど3.11の時期に地域実習でしたので、震災時の病院のお話を聞かせていただく機会があり、思いを馳せ自分たちで追悼復興記念行事にも参加しました。 美しい自然と、穏やかだけれども強い心をもったかしま病院の先生方は、3.11を経ての姿なのだなと感じました。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

求人採用のエントリーはこちら

募集要項/エントリー